「最後は笑顔で」 カンボジアの老人の現状

カンボジアは長い戦争やポル・ポト政権下の虐殺で数百万人もの命が奪われました。今日、国際社会の支援で復興の道を歩んでいるとはいえ、多くの犠牲者が残されています。

戦争の恐怖で記憶が消えた人、地雷や爆弾などによって身体を負傷した人、親、兄弟、子どもを失って一人ぼっちになった人、などです。そして、この苦難を経験した人たちが、今、高齢者になっています。

カンボジアでは老人の世話は子どもや孫や親戚の義務です。しかし、身寄りのない老人は路頭に迷っています。現在のカンボジアには孤老を保護する制度がありません。

1992年から93年にかけてUNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)が展開して以来、カンボジアには諸外国から支援の手が差し伸べられています。しかし、その多くが学校建設など次代を担う子どもへ教育支援や、孤児への支援、あるいは地雷の被害者への支援などです。孤老への支援は現実問題としてありません。

かつて壮年時代には、戦場へ行かされ、重労働をさせられました。しかも、ろくに食べ物も与えられず、半病人の状態でした。そうした中を何とか生き延びた末の今日、人生の集大成の時、老人となった彼らはお金や食べ物をもらうため最後の力をふりしぼって街で物貰いをしています。カンボジアの現在の老人たちはもう十分すぎるほどの苦労をしてきました。残りの時間は、今までの不幸や苦難を忘れて心のゆとりができる生活を送ってもらいたいと願っています。

とはいえ、私たちCICRにできることは氷山のほんの一角に触れる程度のことでしかありません。地元の寺院と提携し、境内の土地の無償提供を受け、ささやかな老人ホームを建設しました。約10名のお年寄りが入居予定です。建物は完成しましたが、今後は生活を支えていかないといけません。どうか多くの皆様のご協力をお願いします。「最後は笑顔で」過ごしてもらいたいと思います。

《老人支援・サポーター募集

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